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【Ep. 6】お悩み:駐在員と現地採用の生活格差に絶望しています

※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切の関係がありません。

 

 

悩めるシンガポール在住者の前に、忽然と姿を表す場末のスナック、それが「夜間飛行」。

赤い布張りのソファに、古ぼけたミラーボール、そしてそれらを包み込む、懐かしい昭和の歌謡曲。

これは異世界? それとも幻?

時代に取り残されたようなその空間は今夜も、疲れた人々の心にそっと寄り添う……。

 

 

このシリーズの過去記事↓

 

 

 

 

「もう帰るの? 柳さん」

 

 

「はい、帰って洗濯しなきゃいけないんで、失礼します」

 

 

「男の一人暮らし、大変ですね! って、俺も一人暮らしなんだった(笑) ごめんごめん、引き留めて! またすぐホームパーティーやりましょうね」

 

 

「そうっすね、ぜひ!」

 

 

俺は顔に愛想笑いを貼り付けたまま、同じ会社で働く牧田さんのコンドを後にした。

牧田さんは俺と同い年だが、日本の本社から送られて来た出向者、いわゆる「駐在員」だ。

一方、俺は現地採用としてシンガポール子会社に採用されたばかり。

 

 

牧田さんと俺は、基本的にはほとんど同じ仕事をしている。

しかし、今日初めて牧田さんの家のホームパーティーに呼んでもらって、その生活格差に愕然としてしまった。

 

 

牧田さんは1 LDKの広々とした新築コンドミニアムに一人で住んでいる。

当然家賃は会社持ちだ。洗濯と掃除は通いのメイドがやってくれるという。

 

 

一方、俺はこれから、4LDKを5人でシェアしているボロいコンドに帰る。

家賃は月900ドル。自腹だから、これでもきつい。洗濯も掃除も、もちろん自分でやらなくてはいけない。

 

 

牧田さんのようなコンドに住もうと思ったら、月3000ドルじゃきかないだろう。

どう頑張ってもそんなの、夢のまた夢だ。俺は気持ちがずぶずぶと沈んでいくのを感じていた。

 

 

自分のプライバシーが持てないということは、俺はこの先、彼女ができたらどうすれば良いのだろうか。

この国には便利なラブホテルなんかないから、毎回シティホテルを取るのだろうか。

いや、それ以前に、こんな俺と付き合ってくれる殊勝な女の子はいるのだろうか。

俺は40になっても50になっても、ずっと独身で、シェアメイトと暮らし続けるのだろうか……。

 

 

 

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