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【Ep. 3】駐妻・理乃の挑戦、そして波乱の始まり

※この物語はフィクションです

 

27歳で結婚以来ずっと専業主婦だった理乃。

日系大手商社に勤める夫、祐介のシンガポール栄転に伴って、3年前この常夏の国に引っ越してきた。

出世頭の優しいエリート夫を持つ、模範的な「駐在員の妻」だったはずの彼女の運命は、あの日を境に音を立てて変わり始めた……。

 

 

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「ちょっと!こんなの無理!!」

 

 

試着室に悲鳴にも似た叫び声がこだまする 。

ここは、Haji Lane にある、水着のセレクトショップ”Bella Kini”の試着室。

理乃は かれこれ1時間半も試着室に入ったっきりだ。

ダリルに頼んだ、水泳のプライベートレッスンが、明後日に迫っていた。

 

どんな水着を着ればいいの?

 

この一週間、寝ても覚めても理乃の頭の中はそのことでいっぱいだった。

今持っているものといえば、何年も前に買ったピンクのビキニ。

水玉で腰回りにフリルがついたミニスカートを重ね履きするデザインは、正直ちょっと子供っぽい。

これを水泳レッスンの時に着るってどうなんだろう?

かといって、競泳用の水着も何だか違うような……。

迷った挙句、華子に相談すると、

 

 

「もう理乃ったら!そんな中学生みたいなダサい水着はいますぐ捨てて!」

 

 

と怒られてしまった。

しょうがないから、買い物に付き合ってあげる、というわけで連れてきてもらったのがこのお店なのだ。

おしゃれな店内にはところ狭しとビキニやモノキニが並んでいる。

コロンビアブラントや欧米系ブランドの水着をたくさん取り扱っているだけあって、デザインが全体的にこう……布の面積が小さめな感じだ。

Tバックタイプのビキニも沢山ある。

 

 

「理乃もいい加減お子ちゃま水着は卒業して、こういうのを着れるようにならなきゃね。ダリルくんにも笑われちゃうわよ!」

 

 

そんな華子の一言にドキリとする。

 

 

「ちょっと華子ったら。そういう意味じゃ…….」

 

 

「あら?最近毎日、『水着どうしよう……』ってメッセージ打ってきてたのは一体だぁれ?」

 

 

理乃は、顔を赤くして下を向くしかない。

 

 

「そんなことより、まずは 試着よ!モタモタしてる暇ないわよ〜!」

 

 

華子は理乃を試着室に押し込めると、所狭しと並んでいるセクシーな水着たちを次から次へと中に放り込む。

ボンテージ風デザインのビキニ。胸元からおへそのあたりにまで深いカッティングの入ったワンピースタイプ。

 

 

「ちょっと華子!こんなの恥ずかしい …….」

 

 

必死で抵抗する理乃の声を聞いて華子がわざとらしく神妙な声で言う。

 

 

「そうやっていつも無難な方に逃げるのが理乃の悪い癖よ?何事も試してみないとわからないでしょう?」

 

 

そりゃそうだけど……手に持った真っ赤なビキニをまじまじと見つめる。

Tバックとまではかないまでも、お尻が半分は丸見えになってしまうブラジリアンタイプだ。

 

 

——

 

 

「あらっ、理乃似合うじゃない!」

 

 

華子がいきなり試着室に入ってきて、理乃のお尻をポンっと叩いた。

ヒャッ!と小さく驚く理乃に向かって華子が微笑む。

 

 

「理乃のお尻がこんなにプリプリしてるなんて知らなかったわぁ〜!うふふ。すごくセクシーよ!」

 

 

実は理乃は中学生の頃からお尻が大きいのがコンプレックスだった。

そのことを話すと華子はびっくりしたように目を見開く。

 

 

「理乃ったら、そんなん隠すなんてバカよ。女性のお尻はまん丸で大きいのが一番セクシーなのよ?理乃のお尻は完璧。

そのお尻で、道を走ってるフェラーリだって停めれるわ。つまり、フェラーリに乗ってる男にナンパされてもおかしくないぐらい素敵な後ろ姿ってこと。」

 

 

華子の言葉には、いつもなぜか「モテ続けてきた女」の余裕と説得力がある。

理乃は首をひねって、試着室の鏡に映る自分の後ろ姿をじっと見つめた。

ずっと好きになれなかった自分のお尻。

でもそんな風に褒められると悪い気はしない。

セクシーな、というよりむしろ過激なビキニを何着も試着するうちに、だんだんと感覚が麻痺してくる。

最後にはまるで、ファッションショー気取りで、鏡の前でポーズを決める有様だった。

 

 

「すごく似合ってるし、素敵よ。」

 

 

華子の褒め言葉が、理乃の背中をそっと押した。

 

 

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