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【Ep. 20】理乃の別れ、そして新たな旅立ち

※この物語はフィクションです

27歳で結婚以来ずっと専業主婦だった理乃。

日系大手商社に勤める夫、祐介のシンガポール栄転に伴って、3年前この常夏の国に引っ越してきた。

出世頭の優しいエリート夫を持つ、模範的な「駐在員の妻」だったはずの彼女の運命は、あの日を境に音を立てて変わり始めた……

 

(あらすじ)

誰もが羨むような専業主婦生活を謳歌していたはずの理乃だが、どこか心にぽっかりと空いた穴を抱えていた。

何年も前から望んでいるものの、子供に恵まれない。

真剣に向き合うことを避ける夫、お世辞にも良好とは言えない姑との関係。

そんな時、偶然にも自宅コンドミニアムのプールで、水泳インストラクターのダリルと出会う。

理乃は、ダリルに言葉では言い表せない運命的なものを感じてしまう。

そして親友の華子に進められるまま、ダリルに水泳レッスンを申し込み毎週顔を合わせるようになる。

屈託のない笑顔で夢を語るダリル。それは理乃に過去の自分を思い出させるのだった。

「書くこと」が大好きだった、理乃は新たな創作活動を始める。

 

 

嫁姑の関係は悪化の一途を辿り、なんと理乃は義母から殴りかかられるという驚愕の事態に発展するのであった。

その事件の影響で入院することになった理乃に、ダリルから大きなお見舞いの花束が届く。

そこで、理乃はダリルの彼女に対する気持ちに気づくのだった。

チャイニーズイヤーのカウントダウンでお互いの気持ちを確かめあう二人。でも夫の祐介は、理乃に子作りをもう一度頑張ろうと言い出す。

 

 

さらには、ゴシップ大好きな駐在員妻、真美がダリルと理乃の関係を嗅ぎつける。逆にそれが理乃と、ダリルの心の絆を深めることになったのだが……そんな妻の異変を感じとった夫が逆に子作りに積極的になるにつれ、理乃の気持ちは冷めて行くのだった。

そんな妻の姿に異変を感じる夫の祐介。ついには、無理やり妻を繋ぎとめようと、強硬手段に出るのだが、それが理乃の心を頑なにする。ついに離婚を決意した理乃はダリルと旅行の約束をし、人生の新しい一歩を踏み出そうとするのだが……

 

 

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そこから何が起こったか……記憶は定かじゃない。

気づくと、理乃は自宅のベットの上にいた。

 

 

「理乃!大丈夫?!」

 

 

華子の声だった。

うっすらと目を開けた理乃に気づいて、心配そうに覗き込む彼女の顔が、理乃の視界を遮った。

 

 

「あ……」

 

 

声を出そうとしても、喉がカラカラで思うように声が出せない。

目を白黒させる理乃を見て、華子が慌てて口元に水を運んでくれた。

 

 

「私……どうして……?」

 

 

「あー、良かった。理乃意識が戻ったのね!」

 

 

自宅で急にめまいを感じ、床にうずくまってしまったことはおぼろげに覚えている。

そのあとどうやら朦朧とした意識の中で、華子に電話をかけていたらしい。

呂律が回っていない理乃の声を聞いて、ただ事ではないと悟った華子が、コンドミニアムに駆けつけてくれたというのだ。

 

 

「祐介君から、合鍵を預かってて良かったわ」

 

 

昔から、夫の祐介は『俺の出張中に理乃に何かあったら』といって、華子にうちの合鍵を渡していた。

心配しすぎ……そんなことわざわざしなくてもなんて思っていた理乃だったが、備えあれば憂いなしとはこのことだ。

 

 

こんな時に、夫の優しさが感じられて ……ぎゅっと胸が痛くなった。

 

 

そうだ。私はそんな夫を差し置いて、他の男性と…、10歳以上も歳の離れた若い男と旅行に行こうとしているのだ。

 

 

またしても罪悪感に胸が疼く。

 

 

「さ、理乃、水を飲んで。病院に行くわよ」

 

 

「え、病院?!」

 

 

「ただの貧血だとは思うけど、念のため。私がついてくから、安心して!」

 

 

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