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【Ep. 11】駐妻・理乃の困難、そして勇気ある行動

※この物語はフィクションです

 

27歳で結婚以来ずっと専業主婦だった理乃。

日系大手商社に勤める夫、祐介のシンガポール栄転に伴って、3年前この常夏の国に引っ越してきた。

出世頭の優しいエリート夫を持つ、模範的な「駐在員の妻」だったはずの彼女の運命は、あの日を境に音を立てて変わり始めた……。

 

(あらすじ)

誰もが羨むような専業主婦生活を謳歌していたはずの理乃だが、どこか心にぽっかりと空いた穴を抱えていた。

何年も前から望んでいるものの、子供に恵まれない。

真剣に向き合うことを避ける夫、お世辞にも良好とは言えない姑との関係。

そんな時、偶然にも自宅コンドミニアムのプールで、水泳インストラクターのダリルと出会う。

理乃は、ダリルに言葉では言い表せない運命的なものを感じてしまう。

そして親友の華子に進められるまま、ダリルに水泳レッスンを申し込み毎週顔を合わせるようになる。

屈託のない笑顔で夢を語るダリル。

それは理乃に過去の自分を思い出させるのだった。

「書くこと」が大好きだった、理乃は新たな創作活動を始める。

 

 

嫁姑の関係は悪化の一途を辿り、なんと理乃は義母から殴りかかられるという驚愕の事態に発展するのであった。

その事件の影響で入院することになった理乃に、ダリルから大きなお見舞いの花束が届く。

そこで、理乃はダリルの彼女に対する気持ちに気づくのだった。

チャイニーズイヤーのカウントダウンでお互いの気持ちを確かめあう二人。でも夫の祐介は、理乃に子作りをもう一度頑張ろうと言い出す。

 

さらには、ゴシップ大好きな駐在員妻、真美がダリルと理乃の関係を嗅ぎつける。

 

 

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真美にダリルと一緒にいるところを見られてしまった。

どうしよう……。

気持ちがズシンと重くなる。もう何か一波乱起きそうな予感しかしない。

とその時、Facebookメッセンジャーの着信音が理乃の耳に飛び込んできた。

恐る恐る見てみると……やっぱり。真美からだ。

 

 

「理乃ちゃん、さっきはびっくりしちゃった〜でもお久しぶりね〜」

 

「本当にお久しぶりでした〜! お元気そうで何よりです!」

 

 

そつなくメッセージを返すと、ものの数秒もせずに返信がくる。

 

 

「ところでさっきのダリルくんって子、可愛いわね。うふふ」

 

 

単刀直入なメッセージ に映し出された文字が、理乃を後ずさりさせる。

 

 

「あはは……そうですか、たまたまひょんな事から、水泳のインストラクターをお願いすることになって」

 

「そうなんだぁ。そうよねぇ。この歳になると、体力作りって大事だものね〜? それはそうと理乃ちゃんはどうして、ご自宅じゃなくてブギスの方のコンドでレッスンを受けているの? 理乃ちゃんのコンドも、立派なプールあるじゃない〜?」

 

さすがシンガポールゴシップの女王だ。質問が的を射て、しかも鋭い。

 

 

「友人があのブギスのコンドに住んでいて、彼女も一緒にグループレッスン受けているもので……」

 

 

二人きりでレッスンをしているわけではないことを、さりげなく強調する。

 

 

「へ〜ぇ? グループレッスンなんだぁ……楽しそうじゃない? 一緒のコンドだし、私も体験レッスンご一緒させていただきたいわ〜! 理乃ちゃんお願いね〜っ!」

 

 

——

 

 

 

「ダメよ、ダメダメ!」

 

 

話終わらないうちに、華子から全否定された。

 

 

「真美さんを体験レッスンに誘うなんて! 絶対ダメよ!」

 

 

頼まれたら断れない理乃は、真美の押しの強さに思わず負けてグループレッスンに 招待しそうになっていた。

こんな時には、親友華子に意見を聞くに限る。

 

 

「真美さんはね、勘が鋭いの。つまり……理乃とダリルくんの関係が怪しいってすでに感づいてるの!」

 

「やっぱりそうよね…….」

 

「当たり前よ! しかもそれだけじゃないわよ。噂によると、真美さんって年下のイケメン好きらしいわよ? 実はね……少し前まである年下の男の子を好きになって、ちょっとストーカーまがいのことをしていたなんて、まことしやか言われていたのよ?」

 

「うっそ……やだ、どうしよう……」

 

真美さんがあの日、ダリルを頭のてっぺんから爪先まで舐めるように見ていたことを思い出して、理乃は急に不安になった。

 

 

「真美さん、正直きっとしつこいわよ。のらりくらりかわせる相手でもないわ……なんなら、もう理乃が水泳レッスンをやめるっていうのもありなんじゃないかしら?」

 

「……レッスンをやめる?!」

 

「だってそもそも、ダリルとお近づきになりたいって不純な動機で始めたんでしょ?」

 

「ちょっ、華子ったら!」

 

「もうあなたたちお互い好き同士なんだから、別にレッスンしなくったって会えるんだし……そしたら真美さんに邪魔されることもないわ?」

 

確かに、もうダリルとは水泳のレッスン以外でも連絡を取る仲だ。

水泳インストラクターとして引く手数多のダリルが、理乃がレッスンをやめたからといって、収入的な面で困るということもないだろう。

 

でも……。

やめちゃったら……ますます言い訳できなくなるよね……。

これまでは、「水泳レッスン」のために彼と会うって自分にも言い訳できていたのに……。

この後に及んでも、尻込みしてしまう自分が情けなかった。

一体私は何がしたいんだろう。

流れに身を任せていっその事破滅してしまおうかなんて、ロジックが破綻した思考がぐるぐると頭の中を駆け巡る。

 

 

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