ある日ナイトライフシンガポール編集部がスーパー明治屋の辺りで
彗星の如く突如現れた彼女は、禁断の思いを静かに語り始めた……。
「私、駐妻ですけど、恋がしたいんです」
輝くあの頃を取り戻したい、
2児の母、そして商社マンの妻でもある駐妻ふみえが、
駐妻ふみえと一緒にあなたも、この国でときめいてみませんか?
こんにちは。
シンガポールのスーパーマーケットの袋の薄さに悩む駐妻ふみえです。
先日は破れた穴から2ℓの牛乳が落下し、つま先を直撃。ううう悶絶……。
次からはエコバッグを忘れないようにしなくちゃ! と決意を新たにした次第です。
今回、ひょんなご縁あって、ナイトライフシンガポールで連載をさせていただくことになりました。
「駐妻だって恋したい」−−−−こんな過激なタイトルを見て、驚かれた方も多いと思います。
でもこれは、私に不倫願望があるですとか、今現在好きな人がいるですとか、そんな単純な話ではないのです。
少しだけ、私自身の話をさせてください。
ワタクシふみえは、自慢といえば視力がよくて方向音痴なのに迷わないことくらいの、ごくごく一般的なシンガポール駐在員の妻です。
そんな私の、ありふれたある日のこと。
私は子供たちを学校に送り届け、怒涛の勢いでスーパーマーケットへ買い物に行き、常夏の日差しで傷まないよう一心不乱に家へ輸送していました。
急がないとまた袋が破けちゃう!
合計5袋のレジ袋を抱え帰宅していたまさにその時、ふと視線の隅には、同じように荷物を抱えながら奮闘中のアンティがいらっしゃいました。
いよっ! 同志! 一緒にがんばろうではないか♪
そうアイコンタクトをしようとした瞬間、固まってしまったんです。
ん?
んんん??
アンティってこれ……。
ウインドウに映ってるふみえ(私)じゃないのー!!
すっぴん、髪ボサボサ、爆買いレジ袋、動きやすさのみに重点をおいたユニクロ服 ……ギャー!!
ふみえ頑張ってる! ふみえ120%!!
まさしくそれは、世間一般でよく言われる、「100年の恋もいっぺんに冷める」ような姿。
自分自身の激しいアンティー化をまざまざと見せつけられ、心臓が締め付けられるようでした。
私はいつの間に、「女」を諦め「アンティー」になってしまったの……?
夫は一体、今の私についてどう思っているの……?
主婦だからって、母親だからって、このまま「100年の恋もいっぺんに冷める」ような自分のまま生きていくの……?
シンガポールには、結婚して子供を産んでもなお美しい、惚れ惚れとするような駐妻さんがたくさんお住まいです。
でも私、このままじゃ駐妻どころか要注意人物、「注・妻」……もとい「終・妻」……?!
ってだめだめー!! まだ私、終われない! むしろ始めたい! 誰か私を恋するレディに戻して~!!
というわけで、こんな「注・妻」ふみえを「終・妻」から引き上げ、あわよくば惚れ惚れするような現役感を取り戻すべく、この連載「駐妻だって恋したい」をスタートする運びとなりました。
一体何をどうするべきか全くわからないのですが、恋の香りがするセクシーな存在になれるよう、どうにかこうにか頑張ります!!
……と、ここまで書いていて、駐妻ふみえ、気づいてしまいました。
キーボードを打つ指の上で、ふさふさと生い茂る黒い草原の存在に。