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【Ep. 13】コバンのマッサージ嬢に「サービスするわよ」と迫られる

※この物語はフィクションです

シンガポールのコールセンターで働くリョータは、29歳。

30歳を目前にして、彼は焦っていた。

「彼女いない歴=年齢」も、20代ならまだ可愛げがある。

しかし30代ともなるとさすがに悲壮感が漂う。30歳になるまでに、なんとか彼女を作りたい。

いや出来ることならむしろモテたい。モテてみたい。モテてモテて困ってみたい……!

そんなリョータが手にした一冊の本、それが藤沢数希著「ぼくは愛を証明しようと思う」だった。

この本に衝撃を受けた彼は、モテない人生にレボリューションを起こすべく、「ナンパ師」としてデビューを果たす。

このシリーズの過去記事↓

MRTコバン駅に着いたのは、とうに日も沈んだ頃だった。

セラングーンほどとは言わないが、このコバン駅もそこそこに人で溢れていて驚いた。

きっとシンガポールにはこんな、郊外の穴場がたくさんあるのだろう。

人の群れを観察しているうちに、どことなく若い人たちが同じ方向に歩き去っていく傾向が見えるような気がした。確信はなかったが、少しあの方向を散策しに行ってみても良いだろう。

そう思って駅から数百メートルほど歩くと、突如としてやけに活気あるエリアが出現した。

アッパーセラングーンロード沿いに、明かりを煌々と灯した飲食店が立ち並んでいる。

飲食店に混じって、ドリアンを売る店やホテル、マッサージ店、銀行などもあり、どうやらここがコバン駅エリアの中心であるようだった。

駅から結構、遠くにあるんだな……。

どの店もそれなりに賑わっていたが、中でも目を引く長蛇の列があった。

コーヒーショップと言うのだろうか、ホーカーのような一角からはみ出すようにして、多くの人が順番待ちをしている。

その列をたどって先頭まで行くと、ポンゴル・ナシレマと書かれた店があった。

店頭に貼り付けてあった古い日本語フリーペーパーの記事によると、シンガポールでは有名な、ナシレマの名店らしい。

こんなに並んでいるのだから、きっと相当にうまいのだろう。

急ぐ用事もない俺は、再び元来た道を戻り、列の最後尾についた。

30分は待っただろうか。

ようやくありついたナシレマは、なるほど確かに、他の店とは一線を画すクオリティだった。

付け合わせのチキンやオタ、ベジタブルカレーなんかも合格点以上の味なのだが、なんと言ってもココナツの香りがする炊き込みご飯が、べらぼうにうまい。

ナシレマと言えばパサパサとしたイメージがあったが、ここのは絶妙なテクスチャーに仕上げてある。

イカンビリスやソースと混ぜて食べると、止まらなくなるほどだった。

「すいません、この席空いてますか?」

ふと顔を上げると、ちょっとヤンキー風の可愛い女の子が立っていた。

他の店で買ったらしいエコノミーライスを手にしている。

俺は高鳴る胸をなんとか抑え、自分の目の前の空席を手で差して、「どうぞ」と言った。

ラッキー! こんなに可愛い子と相席になれるなんて、ツイてるぞ。

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