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【Ep. 11】ウッドリーで積極的なマレー系美女に林の奥へと誘われる

※この物語はフィクションです

シンガポールのコールセンターで働くリョータは、29歳。

30歳を目前にして、彼は焦っていた。

「彼女いない歴=年齢」も、20代ならまだ可愛げがある。

しかし30代ともなるとさすがに悲壮感が漂う。30歳になるまでに、なんとか彼女を作りたい。

いや出来ることならむしろモテたい。モテてみたい。モテてモテて困ってみたい……!

そんなリョータが手にした一冊の本、それが藤沢数希著「ぼくは愛を証明しようと思う」だった。

この本に衝撃を受けた彼は、モテない人生にレボリューションを起こすべく、「ナンパ師」としてデビューを果たす。

このシリーズの過去記事↓

MRT ウッドリー駅で降りたのは、俺ひとりだけだった。

一応、ここまで来てはみたものの……俺は今までのナンパ道で、かつて感じたことのない不安を感じていた。

そもそもこの駅の周辺に、誰かいるのだろうか。

ナンパに行く時はいつも、Google Mapでその駅の周辺を検索することにしている。

しかし、このウッドリー駅は明らかに他の駅と様子が違っていた。

何せ、なにもない。

コンドミニアムらしき建物や、学校らしきマークこそあれど、そのほかはどうやら未開発のようだった。

こんなところでナンパをするなんてバカげているのだろうが、一度決めたことはやり切るのが俺の良いところだと思っている。

パープルラインの駅全てでナンパをすると決めたのだから、たとえ誰もいなくたって、やるのだ。やり切るのだ。

駅には人っ子一人いなかった。

とりあえず、地上を目指す。出口を出た瞬間、濃厚なプルメリアの香りが俺を出迎えてくれた。

南国ならではのこの香り! 駅周辺は思った通り緑豊かで、ただただ何もない緑地が広がっていただけだった。

けれど、夜風が運んで来る花の香りを感じられるだなんて、ちょっと素敵な場所じゃないか。

「うーん、いい香りだなぁ……」

そんなことを口にした瞬間。後ろから、鈴を鳴らすような声が聞こえてきた。

「いい香りですよね!」

振り返るとそこには、古風なマレー系美女が佇んでいた。

歳の頃は20歳そこそこだろうか。マレー衣装バジュ・クロンを着こなし、頭にはトゥドゥンと呼ばれるスカーフを巻いたいでたち。異国情緒たっぷりで、独特の美しさと気高さがあった。

「本当ですね。どこから来るんでしょうね? この匂い」

俺がそんな風に返すと、彼女はにっこり笑って、遠くの方を指差した。暗くてよく見えないが、きっと指差す方向にプルメリアの木があるのだろう。俺はドキドキしながら、この千載一遇のチャンスを逃さないよう、慎重にこんなお願いしてみた。

「もし良かったら、連れて行ってくれませんか?」

その時彼女が、心底嬉しそうに、パァッと笑顔を弾けさせた。か、可愛い……!

「行きましょう行きましょう! さぁ、こっちですよ♡」

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