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【Ep. 1】シンガポールに爆誕!ナンパ師リョータ

 

 

 

 

モテたい。女の子から選ばれる男になりたい。

 

そう思い続けた29年間だった。

 

 

 

物心ついてからというもの、毎年のバレンタインデーには、サンタクロースもビックリな大きさの袋を持って登校した。

 

しかし結局、専門学校を卒業するまで、母親以外からチョコレートをもらえることはなかった。

 

中学時代に4人、高校時代に6人、専門学校時代に2人に告白したが、想いを告げた途端、全員がなぜか泣きだしてしまった。

 

学生時代の反省をふまえ、社会人になってからは同じ職場の清楚な女性を心の中でひたむきに想い続けたが、ある日その女性から「気持ち悪いです、私に構わないでください」と茶封筒に入った手紙を渡され、その恋も終わった。

 

 

 

「あれ、リョータじゃん?」

 

いきなり声をかけられて振り向くとそこに、同僚の入江が立っていた。

 

もっとも恐れていたことが起こってしまった。

 

まさかここで、会社の誰かと会ってしまうなんて!

 

 

 

驚きのあまり返事もできずにいる俺が、一体そのコーナーで何を物色しようとしていたのか、入江にはわかってしまったらしい。

 

友情にも同情にも思える表情を浮かべると、平積みされていた一冊の本を手に取って、俺に渡してきた。

 

 

 

「頑張れよ、リョータ。読むなら、この一冊だ。」

 

 

 

ただこの気まずい空気から逃れるためだけに、俺はその本を受け取った。

 

そしてモゴモゴと入江に礼を言うと、とりあえずレジに並んで会計を済ませ、逃げるように紀伊国屋を後にした。

 

それが、この青い表紙の本−−−−藤沢数希著「ぼくは愛を証明しようと思う」と俺との、数奇な運命の出会いだった。

 

 

 

ゲイランの自宅に着くなり、ルームメイトに挨拶もせず、一目散に自室へと向かった。

 

緑と青の安っぽいベッドカバーがかかったシングルベッドにダイブする。

 

ああああああああ恥ずかしい。入江に目撃されてしまった。

 

フツメンだけど、小動物系の可愛い彼女がいる、爽やかキャラのあの入江に、思い切り目撃されてしまった。

 

 

 

ベッドで身悶えしていると、入江に勧められて買ったあの本が、ゴトンと音を立てて床に落下した。

 

そうだ、俺は結局、あの一冊を買って帰ってきたのだった。

 

取り上げて改めて表紙を見てみると、帯には「恋愛工学があなたの人生を変える」と書かれている。恋愛工学……?

 

 

 

つい興味をひかれてページを開いてしまったが最後。

 

聞きなれない用語が並ぶその本は、経験したことがないほどの引力で、俺を完全に吸い込んでしまった。

 

 

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