世界のエリートが集まる街、シンガポール。
この街の日本人コミュニティのマジョリティを成すのもまた、エリートビジネスマン(とその家族)である。
仕事も遊びも一流である彼らは、羨望と嫉妬の眼差しを浴びる言わば「特権階級」。
オシャレで高級な店などとうに行き尽くしている彼らが、なぜか最終的に行き着く場所……
それが、 気取らない店「喫茶&スナック 夜間飛行」のバータイムである。
シャツの第一ボタンを外して寛ぐ「シンガポールおじさん」達に、普段は絶対に語らない本音を、匿名でこっそりと教えていただいた。
このシリーズの過去記事↓
【今回のシンガポールおじさん】
職業:建設会社マネージャー
年齢:40代後半
海外歴:1年(うちシンガポール1年)
家族構成:妻、息子2人(日本在住)
「ここのカウンター、ちょっと椅子がガタガタしてるけど、妙に居心地がいいよね。
隣にいる人に会釈して飲み始めるこの感じ、適度な距離感で、俺は好きだな。カウンターがあると、一人でも飲みに来やすくていいよね。
まあ、料理中は湯気がこっちまで流れてくるけど(笑)それも雑多な感じで、またいいんじゃない?
離婚したいと思ったこと? 毎日!(笑)っていうのは冗談にしても、うちの奥さん、とにかく口うるさいんだよね。
今は単身赴任だけど、来年からは家族でこっちに来るって言うんだから、困っちゃうよ。
今のうちに羽を伸ばしておかないと。
奥さん、A型だからさ。O型の俺とは、そもそもの性格が違うんだよ。
洗い物とか溜めてても全然気にならないし、むしろ相手もちょっと適当なくらいが、気を使わなくていいんだ。
でも、相手はなんでもキッチリやりたいタイプなんだよね。
顔を洗った後の洗面所に、一滴でも水滴が残ってると、キーキー言うような人。
育ちってやつも、あるのかな……。
奥さん、京都出身なんだ。
遡ると結構、大層なお家柄らしくて。ご両親は普通のサラリーマン家庭なんだけど、家の格みたいなものを大事にする人たちなんだよね。
だから、品格のある暮らしっていうの?
そういうのを大事にしてるみたい。
俺は下町の出身だから、よくわかんない。
家庭ってのは居心地がいいのが一番で、品格とかそんなもんに縛られてたら、息が詰まっちゃうと思うんだけど。
でもさ……最初からこんな人だとは、思ってなかったんだよ。
出会った頃は、そりゃあ綺麗でしとやかで……はじめて会った時は「うわぁ、可愛いなぁ」って見とれちゃったよね。
今でも他人様には、綺麗な奥様ですねって、褒めてもらえる。
けどさ、結婚してわかったことがある。
うまくやっていくために一番大事なのは、女として魅力的かどうかってことじゃない。
一番大事なのは……