世界のエリートが集まる街、シンガポール。
この街の日本人コミュニティのマジョリティを成すのもまた、エリートビジネスマン(とその家族)である。
仕事も遊びも一流である彼らは、羨望と嫉妬の眼差しを浴びる言わば「特権階級」。
オシャレで高級な店などとうに行き尽くしている彼らが、なぜか最終的に行き着く場所……
それが、 気取らない店「喫茶&スナック 夜間飛行」のバータイムである。
シャツの第一ボタンを外して寛ぐ「シンガポールおじさん」達に、普段は絶対に語らない本音を、匿名でこっそりと教えていただいた。
このシリーズの過去記事↓
【今回のシンガポールおじさん】
職業:総合小売企業マネージャー
年齢:40代前半
海外歴:6年(うちシンガポール1年)
家族構成:妻、長男(シンガポールで同居中)
「……ああ、これこれ。出張中、この1杯のことばっかり考えてました。
この店は氷のクオリティもずば抜けてますけど、何より、いつもちゃんとキンキンに冷えた飲み物を出してくれますよね。
私、この糖質が入ってないチューハイが大好きで、いろんなとこで飲んでますけど。
密かに、ここで飲むのが一番美味しいと思ってるんです。
……え? シンガポールおじさんインタビュー? 面白い話ができるかどうかはわかりませんが、使えるネタがあればぜひ。
妻は会社の先輩です。社内では目立つ存在でしたね。
できる美人が揃っている広報部の中でも、別格の扱いでした。
……今、意外だと思ったでしょ。
そう、私、ものすごく真面目そうに見えるもので。
高嶺の花、しかも年上の先輩をゲットしに走るようなタイプには、見えないそうなんですよ。
でもね、本当に好きな女性だったので。
アクションを起こさずに、後から後悔することだけは避けたかった。
そのお陰で、人生で一番好きになった人と結婚できて、結果的に良かったと思っています。
……え、一番好きな人と、結婚してうまくいく人は、違うんじゃないかって?
私の場合は幸運なことに、そこがうまく重なってたようです。
今まで出会った人の中で一番、価値観が合う人なんですよね。
いくつかの選択肢があるようなシーンでも、選ぶものが異なったためしがない。
そういう、感覚的なものとか、センスとかにおいても、絶大な信頼を寄せている相手です。
……ノロケばかりで面白くないですか?
ははは、じゃあ、少しリアルなお話もしましょうか。