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【9】おじさん、仕事は好きですか?



※この記事は実際のインタビューを元にしたフィクションです。実在する人物・団体とは一切の関係がありません。

世界のエリートが集まる街、シンガポール。

この街の日本人コミュニティのマジョリティを成すのもまた、エリートビジネスマン(とその家族)である。

仕事も遊びも一流である彼らは、羨望と嫉妬の眼差しを浴びる言わば「特権階級」。

オシャレで高級な店などとうに行き尽くしている彼らが、なぜか最終的に行き着く場所……

それが、 気取らない店「喫茶&スナック 夜間飛行」のバータイムである。

シャツの第一ボタンを外して寛ぐ「シンガポールおじさん」達に、普段は絶対に語らない本音を、匿名でこっそりと教えていただいた。

このシリーズの過去記事↓

【今回のシンガポールおじさん】

職業:業務用機器メーカーMD

年齢:40代後半

海外歴:2年(うちシンガポール2年)

家族構成:妻、息子 (日本在住)

「お、今日の水割りは、なんだか一味違うね。もしかして、何か変えた?

……そうか、やっぱり。どことなく、味がまろやかになった気がしたんだよ。

へえ、これ、ミネラル分を極限まで除去した、特殊な軟水なんだ。

高級スーパーで売られているのを見たことがないかって? いや、初めて見たよ。

この店に最初に来た時、氷のクオリティには度肝を抜かれたけど、水にもこだわりはじめたんだね。

いやぁ、またひとつ、ここに来る楽しみが増えたな。

俺に話を聞いても、きっとあんまり参考にならないよ。

カッコイイ話になんか、なり得ないと思うからさ。

この国にいる駐在員は大抵、赴任期間が終わっても、ちゃんと帰る場所が用意されてる人たちだろう?

俺なんか実質、片道切符。

シンガポールに立ち上げたこの事業がうまくいかなかった場合、戻る場所なんかないからね。

この国に来た経緯?

2年半くらい前だったかな、経営者仲間だった旧知の知人に、「うちの会社がシンガポールに新しい営業拠点を作るから、その立ち上げをやってくれないか」と誘われたんだ。

当時俺は、親父から継いだ小さな製造業を閉じる準備を進めてた。

親父の代から長年続く経営不振でさ。

そんな時に、このオファーをもらったんだよ。

50 年近く生きてきて、まさかこの歳で初めて会社員になるなんて予想もしなかった。

でも話を聞いて、どうにも興味を惹かれたんだよね。

その時聞いた話だとさ。

日本だと大幅な割引を余儀無くされてる製品も、シンガポールでなら日本の定価の1.3倍で売れるって言うんだよ。

こりゃあ面白いな、と思ったね。

親父から継いだ会社が不振になったのがそもそも、適正価格で製品が売れなくなったってのが原因だったから。

品質は昔より上がってるのに、価格はどんどん買い叩かれていくのが辛かった。

だから、日本の技術が詰まったいいものを、適切な価格で買ってくれる国があるなら、そこで勝負をしてみたいと思ったんだ。

今思うと無謀だよな。英語なんか、からっきし話せないんだから。

でも、あの時は不思議と、やればできるんじゃないかと思ったんだよ。

海外拠点の立ち上げはしたことがなかったけれど、海外の工場とはよくやり取りをしていたから、なんとかなるんじゃないかとも思った。

そんなわけで 、その知人の会社に入って、シンガポールプロジェクトを任せてもらうことになったんだよ。

最初は俺一人でシンガポールに赴任して、後から英語ペラペラな奴がもう一人来るって話だった。ところがさ……

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