世界のエリートが集まる街、シンガポール。
この街の日本人コミュニティのマジョリティを成すのもまた、エリートビジネスマン(とその家族)である。
仕事も遊びも一流である彼らは、羨望と嫉妬の眼差しを浴びる言わば「特権階級」。
オシャレで高級な店などとうに行き尽くしている彼らが、なぜか最終的に行き着く場所……
それが、 気取らない店「喫茶&スナック 夜間飛行」のバータイムである。
シャツの第一ボタンを外して寛ぐ「シンガポールおじさん」達に、普段は絶対に語らない本音を、匿名でこっそりと教えていただいた。
このシリーズの過去記事↓
【今回のシンガポールおじさん】
職業:IT企業マネージャー
年齢:40代前半
海外歴:2年(うちシンガポール2年)
家族構成:妻、娘(シンガポール在住)
「へえー、夜間飛行も日本酒を出すことにしたんだ!
冷やでも熱燗でも飲めるなんて、嬉しいね。一杯$18か、バーで飲むにしてはリーズナブルだね!
え、なになに? 日本酒と、セルフで炙るスルメをセットにした、“舟歌セット($22)”もあるの?
ああ、あれだね、“お酒はぬるめの、燗がいい♪ 肴は炙ったイカでいい♪”ってやつだよね。
いやぁ、いつもながら、面白そうなことを色々考えつくもんだねぇ……。
日本に帰るの怖いよー! 俺、マジで怖いよー!!
もう2月だろ?
そろそろ声がかかるかもしれないと思うと夜も眠れないよ!!
だって、もう2年も海外生活を満喫させてもらってさ。
今更日本に帰って、“ハイちゃんと仕事してね”って言われても、対応できないよ。
ネクタイの締め方とか忘れちゃった。
モードを切り替えてピシッと頑張れって言われても、気持ちがついていかない……俺マジもう、透明人間になって人事から見えなくなくなりたい。
しかもさ、日本に帰っちゃうと妙に、“海外帰り”ってハクがついちゃうわけ。
だからきっと、英語案件とかを回されまくって、英語ミーティングとかにもアサインされまくって……ヤバいよー、俺英語下手なのにぃ。
2年間、全く英語が上達してない。
シンガポールの人たちは、なんだかんだ、ブロークンな英語でもわかってくれるじゃない?
でも日本に帰ったらきっとガンガンに、北米案件とかヨーロッパ案件とか入れられるんだぜ……あの我が強い人たちと英語で丁々発止やらなきゃいけないんだぜ……本当に憂鬱。
え? それでも辞令が出たらしょうがないだろう、って?