世界のエリートが集まる街、シンガポール。
この街の日本人コミュニティのマジョリティを成すのもまた、エリートビジネスマン(とその家族)である。
仕事も遊びも一流である彼らは、羨望と嫉妬の眼差しを浴びる言わば「特権階級」。
オシャレで高級な店などとうに行き尽くしている彼らが、なぜか最終的に行き着く場所……
それが、 気取らない店「喫茶&スナック 夜間飛行」のバータイムである。
シャツの第一ボタンを外して寛ぐ「シンガポールおじさん」達に、普段は絶対に語らない本音を、匿名でこっそりと教えていただいた。
このシリーズの過去記事↓
【今回のシンガポールおじさん】
職業:電器メーカーMD
年齢:50代後半
海外歴:12年(うちシンガポール2年)
家族構成:妻、息子2人(日本在住)
「お、まだシュワシュワキャンペーンをやってるのかい?
スパークリングワイン全品$10オフ、地味に嬉しいな。
今度みんなで飲みにきた時は、ぜひ利用させてもらうよ。
1月末まで?
オーケー、じゃあ、忘年会をやったメンバーに、今度は新年会をやろうって、声をかけてみるよ。
人生に、心残り?
やめてくれよ、俺まだ死なないよ(笑)
あ、そういう意味じゃないのか。
今までの人生を振り返った時に、“もしも違う選択肢を選んでいたら”と考えてしまうようなこと、ってことね。
うーん、それじゃあ……
ひとつだけ、あるかもしれない。
俺の同期に、起業した奴がいてさ。
すごくデキる奴だったんだけど、いつも上司とぶつかってばかりだったから、もし会社に留まっても出世しなさそうなタイプだった。
だから起業したんだろうな……って、俺も決して、元から従順なタイプではなかったんだけど。
そう、俺の心残り。それは、あの時のことなんだ。
あいつが起業したのが、今から25年近く前かな。
以来ずっと、どことなくモヤモヤした気分が、定期的に蘇る。
え、なぜ自分は起業しなかったのかって?
こんなこと言ったら混乱させちゃうかもしれないけど、別に俺……起業したいと思ってたわけじゃないんだ。