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【Ep. 18】乳飲み子と妻を連れて「最新のライフスタイル」を楽しむ、海外ノマドの場合

 

熱でぐったりとした大輝を抱え上げるマリカ。

 

そのまま手際よくマザーズバッグに身の回りのものを詰めると、ついでに机の上にあった俺の財布を開き、中にあった現金を全て抜き出した。

 

 

「いくらかかったって、この子は医者に診せるからね」

 

「ただの熱だし、明日まで様子を見たっていいんじゃない?」

 

「……テメーはいつも、自分のことしか考えてねえんだな!!」

 

 

そして俺のことは一瞥もしないまま、部屋のドアを荒々しく閉めて、行ってしまった。

 

 

「……なんなんだよ、いちいち神経質だなぁ」

 

 

と俺が言うか言わないかのうちに、突如として激しい空腹感が襲ってきた。

 

 

ぐううぅぅぅぅ〜……

 

 

と、けたたましい音が鳴る。

 

なんなんだ。なんでいきなり、こんなに腹が減るんだ?

 

俺はマリカに空にされた財布の中に、かろうじてクレジットカードが残されていることを確認すると、Air BnBで借りている部屋を飛び出してヒルビューの街に出た。

 

 

iO Italian Osteriaは、気取らない雰囲気の中で本格的なイタリアンを食べさせてくれる店だ。

 

俺はピザとパスタを1種類ずつオーダーし、ついでにハウスワインの赤を頼んだ。

 

間髪入れずにまずパンとオリーブオイルを持ってきてくれて助かった。

 

しかし、食べても食べても空腹感はおさまらない。

 

ピザが運ばれてくるなり、ワインで流し込むようにしてがっついた。

 

他のところとは違い、四角くカットされた状態で出されるピザは、惜しげも無くチーズがトッピングされていて頰が落ちそうな美味さだ。

 

ほどなくして出されたボンゴレパスタもまた、魚介のダシがたまらない。俺は我慢できず、白ワインをボトルでオーダーした。

 

 

「……全く。せっかく海外にいるのに、マリカは大輝にかかりきりで、全然生活を楽しもうとしないんだもんな。マリカも来ればよかったのに」

 

 

思わずそんな独り言が漏れる。

 

 

そうなのだ。マリカは全然、自分がいかにカッコよくて恵まれた生活をしているかに気づいていない。

 

子育てのことで頭がいっぱいで、最先端のライフスタイルを享受している現実を理解できていないのだ。

 

 

俺は違う。

 

俺は「ライフスタイルをデザインするという生き方」を提唱する男だ。

 

楽しんでやる。

 

今夜だって、思い切り、楽しんでやるんだからな……!

 

それから一体何本のワインを開けたのか、自分でも定かではない。

 

 

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