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【Ep. 10】いいね!欲しさに「シンガポール在住」のフリを続けるインスタグラマーの場合

※この物語はフィクションです

 

我輩はマーライオンである。そっちじゃない、小さい方だ。

 

そう、観光客に大人気のあのでかいマーライオンの傍で、ショボく水を吐いている、ミニマーライオンである。

 

俺たちマーライオンには、それぞれシンガポールの守り神としての担当がある。

 

一番大きなセントーサのオジキは、シンガポール居住者担当。エースであるマーライオンパークのアニキは、観光客担当。

 

そして俺は、そのどちらにも属さない中途半端な人々、いわゆる『浮遊層』を担当している。

 

はっきり言って閑職だが、俺はこの『浮遊層』たちが大好きなんだ。

 

俺が守り神として使える魔法は、二つだけ。

 

人のお腹を瞬時に空かせることと、二日酔いを防ぐことだ。

 

なんの役に立つのかって?

 

いやいや、これがどうして、なかなか役に立つものなのさ。

 

おや? 今宵も、愛すべき浮遊層が一人……。

 

 
このシリーズの過去記事↓

 

 

 

私は我孫子ほたる、31歳。

 

インスタグラマー、やらせてもらってます。

 

私のインスタのアカウント、@hotaru_sg_lovelove_3927488っていうんだけど、知らないかな?

 

フォロワーは千人以上いるから、けっこう有名な方だと思うんだけど。

 

 

実はね、私にはひとつ、秘密があるの。

 

インスタでは一応、「シンガポールに住んでます♡」ってことにしてるんだけど……実は私、静岡在住なんだ。

 

 

インスタを始めたばっかりの頃、シンガポール旅行の写真を上げてたら、「シンガポールに住んでるんですか?」ってコメントがついて。

 

つい、「そうなんです⭐︎わかっちゃいました?」って返しちゃった。

 

で、それからもシンガポールの写真あげて、シンガポール関連のハッシュタグつけまくってたら、シンガポール好きな人がどんどんフォローしてくれるようになって。

 

 

なんか……引っ込みがつかなくなっちゃったんだよね。

 

最初はそんなにネタに困ってなかったんだけど、このところはさすがに、写真のストックがなくなっちゃって。

 

ネットで引っ張ってきた画像とかで誤魔化してきたけど、そろそろネタ切れ感が強くってさ。

 

 

「本当はシンガポールに住んでないんじゃないの?w」

 

 

「はいはいw シンガポールで撮ったのねww」

 

 

「在住アピールお疲れ様です」

 

 

なんて嫌がらせコメントが、しょっちゅうつくようになってきちゃった。

 

でも、ネガコメと同時に、フォロワーもどんどん増えていくから、意地でもシンガポール在住のフリを続けたくて……頑張ってお金貯めて、シンガポールに写真撮影旅行に来たわけ。

 

この3泊4日でまた写真を撮りまくって、疑った奴らの鼻をあかしてやるんだ。

 

 

「えっと……たぶん、こっちの方向だよね……」

 

 

デンプシーヒルでガイドブックの地図と睨めっこしている私の横を、日本人らしき女性が通りかかった。

 

上品な奥さんだ。

 

地図が読めずに困っていた私に、親切にも声をかけてきてくれた。

 

 

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