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【Ep. 9】「グッときた男性を巡る旅をしてるの」と素子は言った

※この物語はフィクションです

いつも違う美女と肩を並べているところを、よく目撃されるこの男性。

彼は佐野隆(さのたかし)41歳、日系ITコンサル会社のシンガポール現地法人社長だ。

いわゆる「マネージングダイレクター」と呼ばれる立場だが、実情は常に本社に気を使う中間管理職である。

本社との軋轢や、単身赴任の寂しさが醸し出す、独特の憂いと色気。

それが絶妙に美女の心をくすぐっているようだが……

彼自身は、どうやら全くそれに無自覚なようで。

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「うわぁ、一度来てみたかったの。イメージそのままね」

ラッフルズホテルのLong Barに一歩足を踏み入れた瞬間、素子先生は心底嬉しそうにそう言った。

少し離れたテーブルにいる3人連れの欧米人男性が、眩しそうに彼女を眺めている。

俺は憧れの素子先生をエスコートできる喜びで、柄にもなく浮き足立っていた。

高校時代にお世話になった英語教諭、素子先生に、まさかシンガポールで再び会えることになるだなんて。

素子先生からFacebookの友達申請が届いたのは、ほんの2週間ほど前だった。

プロフィール写真で見る素子先生は、あの頃の面影を留めたまま、しっとりとしたマダムになっていた。

ポニーテールを風になびかせていたあの頃の、溌剌とした笑顔。

それが、目尻の優しげな皺に引き立てられて、ますます魅力的になっていた。

少しモード感のあるショートカットも、よく似合っている。

「佐野くん、今、シンガポールにいるのね! 遊びに行ってもいい?」

もうすでに高校時代から数えて25年近く経っているのに、その一言がチャットで送られてきた瞬間、思わずドキドキしてしまった。

俺が18歳で、素子先生が24歳くらいだった、

あの頃。勇気を出して、「素子先生って本当にきれいだと思います」と伝えたら、「佐野くん、そんなことより、ちゃんと勉強してね」と言われてしまったっけ。

「素子先生は、やっぱり、マリーナベイサンズよりラッフルズホテルに来たがるんですね」

「そうよ、数々の文豪が愛したホテルだもの」

陽気なジャズの生演奏が流れる店内を、素子先生は楽しげに眺めていた。そこに、お待ちかねのシンガポールスリングが運ばれてくる。

「わぁ! 思ったより鮮やかな色をしてるのね」

「先生、テーブルの上のピーナッツも食べてくださいね。殻は豪快に床に落としちゃうのが、ここ流ですよ」

「うふふ、なんか、お行儀が悪いことするってドキドキしちゃう!」

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