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【Ep. 11】「それ、優しい差別ですよ」とメイリンは言った

※この物語はフィクションです

いつも違う美女と肩を並べているところを、よく目撃されるこの男性。

彼は佐野隆(さのたかし)41歳、日系ITコンサル会社のシンガポール現地法人社長だ。

いわゆる「マネージングダイレクター」と呼ばれる立場だが、実情は常に本社に気を使う中間管理職である。

本社との軋轢や、単身赴任の寂しさが醸し出す、独特の憂いと色気。

それが絶妙に美女の心をくすぐっているようだが……

彼自身は、どうやら全くそれに無自覚なようで。

このシリーズの過去記事↓

「もしかして佐野さんですか……?」

ある日のランチタイムのこと。

ラオパサでフィッシュボールヌードルをつついていたら、突然、身なりの良い女性に話しかけられて驚いた。

明らかに高級とわかる夏物のワンピースや、ブランド物のバッグは、全くもってホーカーセンターに似つかわしくない。

けれど彼女の表情は人懐っこく、一見して人柄の良さを感じ取ることができた。

一体この素敵な女性は、誰だっただろうか?

「日本ではお世話になりました。メイリンです。ホァン・メイリン」

「……ぁあああ〜!! メイリンちゃん!!」

まさか、10年以上も前に自分の部署に来た中国人インターンと、こんな形で再会するとは思ってもみなかった。

あの頃彼女はまだ大学在学中で、化粧っ気もなく、目を引く美しさとは言い難かった。

あの彼女が、ここまで洗練された女性に変貌を遂げていたとは……!

「佐野さんもシンガポールにいたんですね。駐在ですか?」

「ああ、そうなんだ。メイリンちゃんも、今はシンガポールに住んでるのかい?」

「はい、あ、これ私の名刺です」

美しくネイルの施された手で彼女が差し出した名刺には、今世界中で話題の中国発ソーシャルネットワークサービスの名前と、「リージョナルダイレクター」の肩書きが、華々しく書かれていた。

「メ、メイリンちゃん、出世したね……」

「何言いますか佐野さ〜ん! 佐野さんはずっと、私の憧れの先輩です。そんなこと言わないでください」

「あはは……」

すると後ろから彼女の部下らしき精悍な若者が現れ、何やら早口で囁いた。どうやらもう行かなければならないようだ。

「佐野さん、今度一緒にご飯食べませんか? 久しぶりに私、佐野さんと話したい!」

「もちろんだよ。じゃあ、店を決めて連絡するね」

「今日がいい、私!」

「ええ?! 今日?!」

「今夜、ダメですか?」

「いや、大丈夫だけど……」

「それじゃあ話は早いね。Level 33 で7時。着いたら先に、飲んでて?」

メイリンちゃんは素早く場所と時間を指定すると、あっという間にどこかに消えていってしまった。

キビキビして頼もしいことこの上ないが、彼女は昔から、こんなキャラだっただろうか……?

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