精悍なビジネスマン、貞淑そうな駐在員妻、悠々自適なリタイア勢、タフでクールな現地採用組……。
シンガポールには様々な日本人が暮らしているが、ふと疑問に思ったことはないだろうか。
「この人は一体、どんな恋をしてきたのだろうか?」
通り一遍の挨拶や、当たり障りのない人付き合いからは、決して浮かび上がることのない歴史。
しかし、だからこそ知りたい、根掘り葉掘り聞いてみたいのだ。
これはそんな野次馬な好奇心を満たす、匿名インタビューシリーズである。
ナイトライフシンガポールの名物ライター「駐妻ふみえ」が、時に優しく、時に大胆に、在星日本人たちの恋模様を炙り出す!
このシリーズの前回記事↓
こんにちは。駐妻ふみえです。
シンガポール在住の日本人の皆様に、内緒でこっそりご自身の恋愛遍歴をお伺いしてゆこうというこのインタビューシリーズ。
今回ご登場いただくのは、シンガポールでも顔が広く、弊社編集部の店「喫茶&スナック 夜間飛行」へは、当初ご友人のご紹介でいらしたというKさん。
思わず話しかけたくなる楽しげな雰囲気をまとうKさんは、いつもご自身が快適であるような空間を自然と作り上げていらっしゃいます。
快く引き受けて下さったインタビューでは、ご本人の魅力を再確認させていただくとともに、女性が放っておかない引力の秘訣を垣間見ることができたのでした……。
【今回の恋愛遍歴の語り手】
性別:男性
職業:自営業CEO
年齢:50代後半
シンガポール歴:8年
「恋愛遍歴、読んでるよ。恋の形も人それぞれで、面白いよ。
で、今回は僕の出番ってわけね。
ま、長く生きていれば、いろんなことがあるからね。
現在進行形の話もあると言えば……あるよ。
家内? そうだね、その話もしなけりゃならないとなると、長くなりそうだ(笑)
僕にはね、忘れられない人がいる。
高校の同級生だった彼女は、生徒会の副会長。
人望があって、賢くて、薬師丸ひろ子似の美少女で、何をやらせても上手く立ち回る彼女は、学年一の才媛だった。
そんな彼女が、なんで平凡な僕と縁があったのか……不思議なもんだよ。
共通の友人を介して紹介されて、お互いすぐに気が合って、交際することになってね。
渡り廊下っていうのかな?
同じ高校といえど、校舎の違った僕たちのお決まりの居場所はそこで、長いようで短かった青春のひと時を、惜しむようによく一緒に過ごした。
君の頃は、土曜は学校はお休みだったでしょう?
そうか、ギリギリ体験してる世代なのか(笑)
土曜は半ドンっていって、午前中だけは高校へ行ってさ、その後彼女と待ち合わせて、近所の湖へ出かけた。
彼女お手製の弁当は、格別に美味かったよ。
僕は古いタイプの男だから……僕のために早起きして料理を作ってくれたと思うと、グッとくるんだ。
高校を卒業して、別々の進路を歩んでも、彼女との関係は大きくは変わらなかった。
当然、結婚するつもりだったよ。
彼女との関係は、永遠に続くものだと信じていたから。
でも人生って、そううまく運ばないものなんだな……。
2人の関係に亀裂が入ったのは……僕が大病を患ったことにあったんだろうか?