海外での「子育て」には、普通以上の不安やストレスが伴うもの。
生活格差、言葉の壁、教育文化の違い、ママ友とのお付き合い、
ここシンガポールの日本人社会では日々、子育
このシリーズの過去記事↓
「あ、ミカさん、いらっしゃい!」
ーーエメラルド・グリーン色のノースリーブに、デニムのミニスカートという南国らしい服装で、ショート・ボブの知美さんが出迎えてくれました。
眉毛上で揃った前髪が、彼女の大きな瞳をさらに引き立てます。
M) こんにちは~、お邪魔します!・・・おお、元気ですねえ~!
ーー奥の方で男の子が二人、大きな声で笑いながら駆け回っているのが見えます。
歳は2,3歳頃でしょうか。
有り余るエネルギーがこちらにも伝わって来るほどです!
「はいはい!二人とも静かに!お客さまがいらっしゃったからDVD見ていいよ~!さ、ソファにお座りして。」
ーー知美さんの号令とともに、男の子二人は光の速さでテレビの前に陣取りました。
M)なんと鮮やかな! 知美さん、さすがですね! 二人ともなんてお利口さんなんでしょう!
「いえいえいえいえ、もう、大変ですよ、毎日毎日・・・。
お客様がいらっしゃる時はテレビにベビーシッターをしてもらうんですが。
さすがに一日中ってわけにいきませんから。
あの年子二人にエネルギーを消費してもらう為に、毎日必死です。
今日はなにしよう、どこにいこう、って、いつも考えてます」
M) 知美さん、すっごくがんばってますねえ!
男の子二人の、しかも年子・・・想像するだけで大変さが伝わって来ます。
でも、二人とも、とっても元気で、かわいいですね。夫さんも、可愛がっているでしょう?
「ありがとうございます。ホント、男の子は未知の世界の住人ですよ。
夫ですか・・・うーん、そうですねえ。
可愛がっているは可愛がってるんですけど、家にあまりいないからなあ・・・。
大変な時期だっていうのが、あんまり通じてないというか・・・」
ーー知美さん、高層15階のリビングルームから、晴れ渡る外を見つめて呟きました。
明るかったお顔が、どこか暗くなったようです。夫さんと何かあったのでしょうか・・・?
「ミカさん、夫がね、仕事でがんばっているのは、わたし、わかっているんですよ。
こんなリバーバレーなんていう立地の良いコンドに住めて、日々不自由なく暮らせていて・・・。
でもどこか納得できないというか・・・」
M) と、知美さん、どうしたんですか? 話がよく見えませんが・・・
「・・・というのもね、夫が、シンガポール生活を満喫しすぎている気がしているんです」
M) 夫さんが、シンガポール生活を満喫しすぎているんですか?
(こくり、とうなずいて)
「そうなんです。早く帰宅する日はごく稀で。色んなお付き合いがあるみたいで。
なんでも、夜はシンガポールでワインを楽しむ部、週末はソフトボール部、
たまに出身大学の集まりや、さらにはマラソンにもはまっているので、練習とかいって出かけちゃうんですよ」
M) そ、それはそれは・・・夫さん、何よりも、タフですねえ!
それで疲労困憊して、体調でも崩されたらさらに大変ですけど、健康・・・なんですよね?
「そりゃあもう!楽しいことやってるから、疲れないんだ、なんて言ってますよ。
「そんなに忙しくて、大丈夫?」ってイヤミで聞くんですけど、通じないんです。(笑)」
M) なるほど!夫さん、ポジティブですね(笑)
それでも、例えば週末、土日のどちらかは家族と過ごすとか、週に何日かは、早めに帰ってきたりとか、ご家族との時間は確保されているんですよね?