05/10/2018
海外での「子育て」には、普通以上の不安やストレスが伴うもの。
生活格差、言葉の壁、教育文化の違い、ママ友とのお付き合い、
ここシンガポールの日本人社会では日々、子育
「最近、娘の元気が無いな、ってふと不安がよぎったんです」
――シンガポールへ引っ越してまだ若干3ヶ月の、かおりさんはそう切り出した。
線が細い、細面の美人。
憂う横顔にも、上品な色気が漂います。
「住まいに選んだコンドは、日本人学校のバスが停まることもあり、駐在日本人家庭が多い所です。
利便性と合わせ、娘の陽菜(ひな)が寂しくないようにと選びました。
幸運なことに、編入した3年生のクラスに、このコンドに住む女の子が3人いたんです」
――出ました、“日本人が多いコンド”!
こうしたコンドは安心感がありますが、実はご近所トラブルに発展しやすい一面もあるのです。
幾度か似たようなご相談を受けていた私に、ちょっとした緊張感が走りました。
「“同じクラスに、同じコンドの子が3人もいるなんて、とっても運がいいね”と、家族で喜び合いました。
陽菜は社交的な方だと思います。
転入初日の放課後から、早速その3人グループと一緒に遊ぶようになりました。
3人のお母さんにも、とてもよくしてもらいました。それなのに……
――やがて食欲が無くなり、溜め息をつくのを見るようになったのだそう。
「“ねえ、陽菜、最近、何か気になることある?” と、放課後、めずらしく家にいる娘にそう聞きました。
そうしたら、娘は堰を切ったように泣き出したのです」