常夏のコスモポリタン・シティ、シンガポール。
恋が似合うこの街には、珠玉のラブストーリーの舞台としてふさわしい、数々のデートスポットが存在する。
しかし嘆くべきは昨今の「恋愛離れ」。
多くのシンガポール在住日本人が、恋やデートそのものに対する消極的な“めんどくささ”を持て余している。
そこでナイトライフシンガポール編集部は、この街にはびこる「デートめんどくさい症候群」を駆逐すべく立ち上がった!
(なるべくしがらみの少ない)男性読者を問答無用でおすすめデートスポットに連れ出し、在住者を代表して評価してもらうのがこの企画。
さらにはその評価と当日の写真を元に、あなたの恋心を刺激するショートストーリーを作成することとした。
リアルと妄想が交錯する半フィクションが、眠っていたデート欲を揺り起こす?!
またの名を夜間飛行のママ。
商社勤務。40代前半の独身男性。シンガポール在住歴2年半。
爽やかなオシャレイケメンという言葉がぴったりのルックス。
JEWELでのデートをご提案させていただくと、
「あ、では11:30am に〇〇にお迎えに上がりますね」
と快く、車まで出してくださった。
とにかく「スマートなジェントルマン」という言葉がぴったりのタカさん。
それでいて相手に気を使わせない、気さくな人柄の彼を見て、
「こんなに素敵な独身がまだ『市場』にいたのか……」
と思わず、唇を噛み締めてしまった。
「いや〜実は、1年ほど前に離婚が成立したんです。」
タカさんがさらりといった。
私の頭の中が透けて見えるのか、心が読まれているのか……とビクつく私を気にすることもなく彼は続ける。
「円満離婚です。妻とは14年連れ添いました。原因……?うーん、浮気とかそういうことではないですね。
ただ、年月が経つにつれて価値観が少しづつ違ってきたんでしょうね。だからこの離婚は決してネガティブなものではないですよ。
お互いにとっての最善を考えた結果ですから。」
あぁ、タカさんがなんでこんなに「いい男」なのかわかった気がした。
40代のバツイチ独身男性は……おそらく世界一モテるカテゴリーの生物であろう。
ほぼ市場に出回らない激レアカテゴリに属する男なのだ。
なぜなら、コミットメントを恐れず、女性の心理も知り尽くしている、40代のバツイチ男性はあっという間に素敵な女性と再婚し、独身市場から姿を消してしまうからだ。
タカさんが「シングル」でいる期間もそう長くはないな……と確信した。