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【Ep.4-2】ビシャンアンモーキオパーク妄想ショートストーリー前編(2/3)

※この記事は実際の取材を元にしたフィクションです。実在する人物・団体とは一切の関係がありません。

 

常夏のコスモポリタン・シティ、シンガポール。

 

恋が似合うこの街には、珠玉のラブストーリーの舞台としてふさわしい、数々のデートスポットが存在する。

 

しかし嘆くべきは昨今の「恋愛離れ」。

 

多くのシンガポール在住日本人が、恋やデートそのものに対する消極的な“めんどくささ”を持て余している。

 

そこでナイトライフシンガポール編集部は、この街にはびこる「デートめんどくさい症候群」を駆逐すべく立ち上がった!

 

(なるべくしがらみの少ない)男性読者を問答無用でおすすめデートスポットに連れ出し、在住者を代表して評価してもらうのがこの企画。

 

さらにはその評価と当日の写真を元に、あなたの恋心を刺激するショートストーリーを作成することとした。

 

リアルと妄想が交錯する半フィクションが、眠っていたデート欲を揺り起こす?!

 

 

 

【妄想ショートストーリー】ビシャンアンモーキオパークと、麻里絵26歳<前編>

 

 

 

♪♪♪……♪♪……

 

 

 

私と電話する時、ケンはいつもスピーカーモードを使う。

それは片手間でギターをいじるため。

もちろん会話も上の空だから、結局いつも私は、スマホから漏れ聞こえてくるギターの音をBGMに、自分ばかりが喋ることになる。

 

 

 

「ケン、聞いてる? それでね、そのインド系のお客様に頼まれたんだ。あんまりレイヤーを入れないでくださいって。こういう時は本当にあんまりハサミを入れないほうがいいって聞いてたから、ほとんど切りっぱなしみたいな仕上げにしたんだけど、そしたらめっちゃ気に入ってくれて。また私を指名してくれるって」

 

 

 

シンガポールに来た時はアシスタントだった私も、今年からはスタイリストデビュー。

異国の地での美容師生活は刺激的で、ケンに聞いてほしいエピソードには事欠かない。

でも……

 

 

 

「へー、すごいじゃん。さすが俺の麻里絵。あ、ごめん、そろそろ電話切ってもいい?」

 

「えー、お客様から聞いた面白い話、教えてあげようと思ってたのに」

 

「俺、明日バンドの練習があるんだよね。今夜のうちにもう少しちゃんと自主練したいから、また。お前も早くベッドに入って、俺の夢でも見ろよ!」

 

 

 

私の返事を待たずに切れる電話。

思わずため息が出てしまう。

ケンはいわゆるギター馬鹿というやつで、仕事以外の時間はいつも家でギターの練習をしているか、もしくはバンドメンバーと一緒にいることが多い。

そんなケンに少しでも構って欲しくて、私もギターを買って始めてみたけれど、いっこうに上達しないのだった。

 

 

 

そう、私は、美容師のくせに不器用で鈍臭い。

スタイリストデビューも同期の中で最後だったし、ギターを教えてもらっても憶えが悪いんだ。

この鈍臭さが、ケンをたまに本気でイラつかせているのはわかっているのだけれど……自分ではいつも一生懸命頑張ってるつもりなだけに、ツラい。

 

 

 

最近あまり話を聞いてくれないのは、もしかしてこんな私に本気で愛想を尽かしているからなのだろうか。

付き合って1年半、そろそろ飽きられてしまってもおかしくない気がする。

ケンは誰にでも優しいしノリが良いから、態度じゃよくわからないけど、いわゆるマンネリというやつなのかもしれない。

そう言えばここ数ヶ月は、似たようなご飯デートしかしてないし……あ!

 

 

 

そうだ。

たまには、お外でデートしよう。

うちの近くの公園に、ケンを連れ出してみよう!

 

 

 

楽しくデートをすればきっとマンネリも解消するだろうという望みをかけて、私はケンをビシャンアンモーキオパークへと誘った。

普通に「公園に行こうよ」なんて言っても面倒くさがるだろうから、「外でなら思い切り音を出せるから、うちの近くの公園でギターを教えてよ」なんて口実をつけて。

 

 

 

そして……

 

 

 

待ち合わせた、週末の午後。

大荷物で公園に現れた私を見て、ケンが目を丸くした。

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